SSブログ

連休中の皆様へプレゼント [日常]

先日のJ☆ガーデンで配布したペーパー記載のSSです。
いよいよ連休も最終日、ということで、皆様にプレゼント公開させていただきます。
少しでもお楽しみいただけると嬉しいですv

「open」からご覧くださいませv


『Morning Kiss』 遠くで目覚まし時計のアラーム音が聞こえる。起きなければ――もぞもぞと布団を抜け出し、アラームを止めようと手を伸ばした俺の頭の上から逞しい腕が伸びてきて、一瞬早く時計のスイッチを止めてくれた。腕の持ち主は勿論、隣で寝ていた良平である。
「ごろちゃん、おはよう」
 枕元に時計を置くと、そのまま俺の身体を抱き寄せ、唇を近づけてくる。毎朝二人の間で交わされる恒例の『おはようのチュウ』だ。
「おはよう」
 ちゅ、と軽く唇を合わせ、さて起きるかと良平の胸を押し上げ身体を起こそうとした俺を、何を考えているのか良平は強引にまたベッドへと押し付けてきた。
「……おい?」
 ちらと見やった目覚まし時計の針は七時をさしている。メシを作ってシャワーを浴びて、と考えると起きるのには遅すぎるくらいの時間だ。良平だってそれはわかりきっているはずなのに、彼の手が俺の股間へと迷わず伸びてきたものだから、俺は慌ててその手を掴むと再び、
「おい」
 じろりと良平を睨み上げた。
「なに?」
「『なに』じゃないよ。もう起きる時間だろ?」
「せやね」
 涼しい顔で頷きながらも良平は俺の手を振り払うと、昨日散々扱き上げた俺自身をやんわりと握ってくる。
「よせって」
「……なあ、今日、朝飯はパスせえへん?」
「せえへん。朝飯食わないと良平も力出ないだろ…って、おいっ」
 俺の制止の言葉も聞かず、ゆるゆると俺を扱き上げながら唇を首筋から胸へと下ろしてくる良平への抗議の声は、朝だけにすぐに勃ち上がった自身への直接的な刺激に早くも掠れてしまっていた。
「……やっ……」
 弄られすぎて紅く色づいてしまっている胸の突起を良平の唇が捉える。ざらりとした舌で転がされながら時に軽く歯を立てられ、俺の身体がびくん、と大きく震えてしまったときには既に、俺たちの『朝飯パス』は決定してしまっていたのかもしれない。
 良平のもう片方の手が俺の太腿から尻へと滑ってくる。その手の動きを促すように腰を上げてしまったのは、数え切れないほどに彼と身体を重ねてきたうちに身についてしまったいわば『条件反射』で、しまった、と思ったときには良平の手は俺の後ろへと回り、指をそこへと捻じ込まれてしまっていた。
「……あっ……」
 昨夜散々彼を咥え込んだそこは良平の指の侵入をあっさりと許しただけでなく、早くもひくひくと蠢いて挿れられた指を締め付けている。俺の意思を超えたその動きに戸惑う間もなく、良平が前を激しく扱き上げてきた。
「あっ……はぁっ……あっ……」
 一気に火がついてしまった身体が、俺の理性を奪ってゆく。
「…あまり時間あらへんけど……挿れてもええよね」
 いつの間にか俺の耳元まで身体をずり上げてきていた良平に耳元で囁かれたとき、頷いてしまったのは確かに俺の意思だった。
「おおきに」
 ちゅ、と耳朶に触れるようなキスをした良平が俺の前後から手を退け俺の脚を抱え上げる。やがて始まる激しい律動に、あっという間に快楽の頂点へと導かれ、爽やかな朝には相応しくない高い声を俺は上げ続けてしまったのだった。

「ほんまごめんて。ごろちゃん、機嫌直してや」
「知りません」
 結局大車輪で支度をしなければならない時間までベッドで過ごしてしまった俺たちは、朝飯抜きどころか、シャワーで濡れた髪を乾かす間もなく二人してアパートを飛び出さざるを得なくなってしまった。
「そやし昨夜のごろちゃん、えらい色っぽかったなあ、思うたらとまらんようになってしもたんよ」
「色っぽいわけないだろ」
 何、馬鹿なことを言っているんだと靴を履きながら良平を睨むと、
「……ま、自覚のないところが、ごろちゃんらしいといえばらしいんやけどね」
 良平はそんなわけのわからないことを言いながらも、「ほんま、かんにんしてや」と俺に頭を下げて寄越した。
「……ちゃんと朝飯、食えよ?」
 まあ流された俺にも責任はあるしな、と俺は彼の謝罪を受け入れると、良平の健康を気遣いそう念を押した。
 毎日ハードワークを強いられる彼にとって、朝食抜きはさぞ堪えるに違いない。一人で暮らしているときは、それこそ俺も一分でも長く寝ていたい派だったので朝飯は抜くことが多かったのだが、良平と暮らし始めてからは彼の健康を考え、できるだけ栄養価の高い朝食を作るよう心がけていた。
 俺が良平のためにしてやれることはそのくらいだと思っていたのに、今朝はあっさりと行為に流されてしまった。そんな自分を反省しつつそう告げた俺の目の前で、良平は一瞬なんともいえない顔をしたあと、やがて満面の笑顔になった。
「…ほんま、おおきに」
 そのまま俺の背を抱き寄せ、良平が耳元で囁いてくる。
「ごろちゃんも、しっかり食べなあかんよ」
「うん」
 頷いた俺の背を、良平は一瞬ぎゅっと強く抱き締めたあと、名残惜しそうに腕を解いた。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
 お互いがお互いに言い合い、軽く唇を合わせる、毎朝の恒例行事である『いってらっしゃいのチュウ』を今朝も交わす。
彼との間で毎日繰り返されるキスに、たわいもない口論に、そして互いを思いあう言葉に、幸せを感じずにはいられない――そんな日常を俺は今、満喫している。
(初出 Leafy No.22)
nice!(0)  コメント(4) 

nice! 0

コメント 4

マキ

TITLE: お久しぶりです。
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
れなさん、こんにちは。
なんだかずーっとご無沙汰してしまいました。連休中は遠出はしなかったのですが、フラフラ出歩いててちっともPCを使わなかったので携帯からお邪魔しました。
やっぱり罪の二人はいいですね~!新刊もそのうち出るようで楽しみです!次はナニが起こるのか?それも楽しみですね。
でもまずは次の新刊、ですね!
れなさんもまた明日からお仕事ですか?そちらはこれからどんどん暑くなっていくでしょうけど、くれぐれもお体大事にしてくださいね!
by マキ (2008-05-06 12:38) 

楓

TITLE:
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
相変わらずあまあまな二人ですね~!一気に読んでしまいました。連休は余り出てあるかずに実家と娘達と原宿に行ってしました。人が多いのはわかってましたが雨だったので~少しは少なかったみたいです。
後半は仕事だったので疲れが残りそうです。れなさんもゆっくりはできなかったと思いますが良いお休みになりましたか?
早く罪シリーズも次が読みたいです!
by 楓 (2008-05-06 19:52) 

はのん

TITLE: 甘々
SECRET: 0
PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
れなさんこんばんは~。
早速読みましたよ!!
いつものようにごろちゃんと良平の甘~い日常生活を覗かせて頂きました。

やっぱ『罪』は2人の甘々なシーンがないとはじまりません!!

いつまでも仲良い2人をよろしくお願いします!

CDも予約しました。あとは『罪』の新刊が出たら嬉しいな~。
by はのん (2008-05-06 21:34) 

れな

TITLE: ありがとうございますv
SECRET: 0
PASS: 0abb08367d5eb3af17e902a7db1d48f5
マキさん、楓さん、はのんさん、レスありがとうございます!
皆さんに罪の二人のSS、楽しんでいただけたようで本当に嬉しいですv

また、たくさんの拍手メッセージやメールでご感想をいただきました。本当にどうもありがとうございましたv
by れな (2008-05-10 14:18) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。